第三波の死亡率の評価
日本国内
日本国内では第三波が一応終息したとみられるので、死亡率を評価してみた。
感染者発生数の波に対して死者の発生の波は遅れてくるので、ある期間をとって死亡率を評価する場合その遅れをモデル設定する必要がある。
今回は前回8月(8月11日ブログ記事「ウィルスの弱毒化の検証」)同様、感染から死までは2週間から4週間遅れるというモデルで評価した。厳密には個人差があり6週間後に回復する例もあれば8週間後に死亡する例すらある。しかし大半はこのモデルに当てはまるし、死者の発生を8週間遅れなどとすると別の波と重なってしまって死者数のより分けが困難になって実際的ではなくなるという事情によりこのようなモデル設定になる。
次図は全国の第三波の感染者発生数と死者数の推移図。このグラフから全国的には2月27日に底を打っているので第三波が終息したとみなせる。つまりこの記事の執筆時点が終息から4週間後になる。(厚労省のデータは2日遅れなため)
11月の20日頃から感染者数が一段増えているのは欧州諸国(北欧を除く)で最低気温が10℃を切る頃から感染者数が増加する傾向に一致しており、これについてもすでに11月21日のブログ記事「最低気温が10℃を切ると感染爆発する可能性」で警告していたことだ。 さらに12月8日頃から感染者数が急増しているが、このような極端な急増はイギリスやアイルランド、デンマークで見られたものと同様なものであることから、この時点ですでにイギリス変異株(H69、V70delition(正式名称はVOC-202012/01)という変異株)が市中に拡がっていると筆者は警告した(12月25日ブログ記事「新型コロナウィルスの変異型について他」)。
★未だに変異株の報告数が少ないのは拡がっていないためではなく、単に遺伝子調査の数が少なすぎるだけに過ぎない。ばかばかしい限りだ。
参考までに東京都と大阪府のについても評価した。東京都は2月26日に底を打っているが、大阪府が底を打ったのは3月3日になる。しかし4週間後のデータはまだ出ていないので便宜上2月27日を終息日と設定した(数日の前後では死亡率の下二桁は変わらない)。
各日付の数字を拾ってみると、死亡率は以下のように評価された。(票の右側太字数字が当該期間の死亡率)
夏場の第二波の死亡率が第一波より落ちているのは、医療側で有効な投薬メソッドがある程度確立したためと、高温によるウィルスの弱毒化によるためと筆者は見なしている。(8月11日記事「ウィルスの弱毒化の検証」参照) 一般論として寒冷化により鼻やのどの粘膜の免疫力が落ちるとされている。そのため気温が下がると感染者数は増加するのは必然だが、その上に(筆者の考えでは)イギリス変異株の拡がりがあったため、死亡率が大きく上昇するかもしれないと筆者は恐れていたが、第二波に比べて晩秋から冬の間の第三波の死亡率は全国平均で2.2%と落ちついた数字に終わった。
夏場の死亡率が1.3%だからほぼ1%増加した程度にとどまった。第二波と第三波では医療技術に大きな変化もなかったので、これは寒冷期の免疫力の低下と弱毒化したウィルスが元に戻った効果だけでも説明でき、イギリス変異株が感染力が強化されているものの「強毒化した変異」ではないと判断して差し支えないだろう。
検証例のある学説としては、ある程度の期間をかけてウィルスは弱毒化するよう変異・進化していく、とされている。
イギリス変異株もその一つだったのかもしれない。
イギリス変異株が広がった欧州諸国の死亡率
当のイギリス本国での死亡率はどうなったか?またイギリス変異株が拡がったとされるアイルランド、デンマークではどうだったのかも調べてみた。
以下にイギリス、アイルランド、デンマークの秋からの感染状況のグラフを示す。イギリスでは夏場に小さい第二波があったが、アイルランドとデンマークでは夏場に感染拡大はなく、秋から第二、第三波となった。アイルランドでは第二波がいったん終息した後イギリス変異株による第三波がきたが、デンマークでは秋にイギリスや日本と同様寒冷化に伴う感染拡大に重ねてイギリス変異株の拡大があったとみられる。
これらのグラフから開始・終息の期間を判断した結果、それぞれの国のイギリス変異株を含む死亡率は以下のように評価された。(票の右側太字数字が当該期間の死亡率)
イギリスでは夏場の第二波に比べ第三波の死亡率は1.7倍になっている。アイルランドでも初秋の第二波に比べ第三波の死亡率は倍以上になっている。日本でも夏場の1.3%に対して冬場の第三波の死亡率は2.2%なので1.7倍である。そういう意味ではこの3つの国は同じ現象を見ているといえる。
しかし、死亡率の絶対値は国によって大きく違っている。
COVID-19の死亡率といういい方にしても、イギリス変異株の死亡率といういい方にしても、違う地域・民族・医療キャパシティでは直接比較が難しいという事になるだろう。イギリスでは第三波で再び医療崩壊が起きているが、日本のコロナ受け入れ病床総数と同程度の受け入れ病床数しかないイギリスで連日3万人~6万人の感染者が発生していたのだから無理もない。イギリスの医療関係者は疲れ切っていてPTSDを抱えているものが大勢いるような悲惨な状況だ労。日本は最大でも1日3千人に過ぎなかったのでイギリスに比べれば何も起こらなかったというレベルの話だ。
死亡率に関する新たな謎
人口わずか490万人のアイルランドや580万人のデンマークの方が日本に比べ医療キャパシティは小さいと予想されるが、日本の第三波より死亡率の絶対値が低いことをどう説明すればよいのか?その期間の感染者数も日本の約42万人(第三波)に対して、アイルランド約22万人、デンマーク約20万人と日本に比べ感染者の密度は非常に高い。
申し訳ないが今の段階では謎だ。筆者には説明する手段がない。欧州人に比べ東アジア人の方が風邪などでコロナウィルスに触れてきた期間が長かった、などとこれまで死亡率の低さを説明する仮説もあったが、ここでは通用しないことが判明した。
筆者は北欧諸国が感染者数が少なく死亡率が低い要因として、北欧諸国の人々は気温の低下に対して免疫力があまり下がらないよう進化してきているのではないかという仮説を持っている。単純な想定では北欧諸国やロシアの方が寒冷で乾燥しているのでウィルスはより感染拡大し、死亡率も高くなるはずなのだがそうなっていないためだ。しかしこの仮説ではイギリスとさして違わない温度帯のアイルランドの死亡率が低いことが説明できない。
人口も490万人のうちの4割が首都ダブリンに住むというので、人口密度が低いためという説明もできない。
民族的にはアイルランド人はローマ帝国や中央ヨーロッパのゲルマン民族に追われてきたケルト民族とされているので、北欧から来たバイキングなどの北方ゲルマン民族というわけでもない。
なぞはさらに増えた。
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